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お釈迦様のたとえ話「三車火宅の譬え」

ある町に、子福者で高齢の億万長者がいた。

彼は広大な邸(やしき)に住んでいたが、その邸は、すでに古くなって廃屋のように荒れ放題になっている。

鳥も巣を作っているし、蛇なども生息している。

大きな住宅なのに、どういうわけか出入り口はたった一ヶ所しかない。

ある日、突然、この邸に火事が起こり、またたく間にあたり一面火の海となる。

長者はいち早く戸外に飛び出したが、彼が愛する多くの子どもたちは、

火事とも知らずに家の中で遊びふけっている。

子どもたちは自分の見に迫る危険を気が付かないから避難する気もない。

父の長者は気が気ではない。

「あぶなから早く家を出なさい」と外から声を嗄らして叫ぶが、

子どもたちは父の注意をいっこうに気に留めようとしない。

彼らは火事とは何か、家が焼けるとはいうが家とは何か、

焼け死ぬとはどういうことなのかをまるで知らない。

ただ家の中を走り回りながら、不思議そうに戸外の父を見つめるだけだ。

それほど火事について子供たちは無知であった。

長者の父は何とか子供たちを助けたいと思い、

子どもたちが普段から欲しがっているあれこれの品を思い浮かべて、彼らに呼びかける。

「ほら、お前たちがいつも欲しがっている羊の曳く車や、

鹿の曳く車や、牛の曳く車が門の外に置いてあるから、早くでておいで!」と

長者は老いているが、力ずくで子どもたちを外へ引っ張り出せないこともない。

しかし、本人たちが自発的に飛び出すようにさせたいと思っているから、

あえてそうはしない。

羊車の鹿車も牛車も子どもたちが夢にまで欲しがっている車である。

子どもたちは父の声を聞くと、手にしていた玩具を放り出し、

先を争ってただ一つの出口から外へ出た。

しかしそこには、父の言う羊車、鹿車、牛車は影も形もない

父は子どもたちの無事な姿を見て安堵の胸を撫で下ろすが、

子どもたちは不服である。

「お父さんはウソをついた」と激しく父を責めたてる。

そこで父は、約束の羊・鹿・牛の曳く車よりももっと大きく立派でスピードも早い白い牛の曳く車を

大勢の子どもに残らず与えたので子どもたちは満足でした。

                松原泰道「法華経入門」より

 

 

 

「火宅」とは今のような社会状況をさす言葉ではないでしょうか?

 

 

未曾有の大不況

犯罪の増加

飢餓

戦争

環境への不安

大きなもめ事から些細なもめ事まで

 

 

まさに我が家が火事になっている状態です

人々はむさぼりの炎に燃え、いかりの炎に燃え、愚かさの炎に燃えています

 

「火宅」とは、私たちが迷っている人間がいま住んでいるこの世界であり、

また私たちの一生でもあります

まずは、今が火宅であることを知りましょう

 

そして、火宅の外で父は呼びかけています。

 

「お前たちの好きな小さな乗物があるよ早く外へ出ておいで」と

 

そして、火宅から出ることができた子どもたちに与えられたものは

一人しか乗れない小さな乗物ではなく、

もっともっと好きなたくさんの人が乗れる大きな乗物でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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